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石綿の家庭内暴露 被害者の肺から1万本以上

2008.3.16 23:58

 クボタ旧神崎工場(兵庫県尼崎市)で働き、中皮腫で昭和63年に死亡した男性=当時(55)=の妻が昨年2月、石綿による肺がんで亡くなっていたことが16日、分かった。夫の作業着を洗っていたことによる「家庭内暴露」とみられ、肺からは労災認定基準の2倍以上の石綿が見つかった。専門家は「家庭内暴露で肺がんになるとは聞いたことがない。衝撃的な結果だ」と驚いている。

 家庭内暴露による石綿被害では、中皮腫によるものが数例報告されているが、大量の石綿を吸い込まないと発症しない肺がんで死亡した例が明らかになったのは初めてという。

 男性はクボタの下請け会社に勤務し、同工場で石綿を扱っていたために、中皮腫で昭和63年に死亡。妻は昨年2月、肺がんで74歳で亡くなった。

 妻の死後の同8月に石綿の影響などを医師らが調べた結果、肺1グラム当たり1万2903本の石綿を発見。これは石綿を扱う作業を20年以上続けていた場合に相当するといい、専業主婦には考えられない量だった。

 クボタが石綿を使用していた昭和29〜50年の間、男性夫婦が同工場の1キロ圏内に暮らしたのは半年ほどで、環境暴露は考えにくい。夫の作業着を自宅屋内の洗濯機で洗濯した際に作業着に着いた石綿を大量に吸い込んだ可能性が高いという。

 夫も妻も国からの石綿病の認定を受けており、夫はクボタから救済金の認定も受けている。妻については遺族が今年1月、クボタに救済金を申請した。

 遺族の長女(43)は「まさか母まで石綿で亡くなるとは思わなかった」と話し、石綿被害者らを支援する尼崎労働者安全衛生センターの飯田浩事務局長は「家庭内暴露を知らない人は多い。被害者はもっといるのではないか」と指摘する。

 ◆独立行政法人労働安全衛生総合研究所(東京都清瀬市)の森永謙二部長の話「家庭内暴露で、肺から約1万3000本もの石綿が見つかるケースは世界的にも珍しい。石綿が付着した作業着を洗濯するなどしただけで、これほど大量の石綿に暴露するのは、当時のクボタの作業環境がいかに劣悪だったかの証拠だろう。クボタは当時の作業状況をしっかりと公開する必要がある」

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