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【産経抄】2月25日
このニュースのトピックス:ロス疑惑
果たして容疑者なのか、元被告か、それとも元社長か。呼び方は各紙まちまちだったが、衝撃が大きかったのはみな同じ。もちろん、一番驚いたのは、滞在先の米自治領サイパン島で、ロサンゼルス市警に逮捕された、神奈川県平塚市の会社役員、三浦和義容疑者(60)本人だろう。
▼容疑は、1981年11月18日にロサンゼルス市内で、当時の妻、一美さんが銃撃されて死亡した事件での、殺人だという。多額の保険金がからんだ「疑惑の銃弾」として、「週刊文春」が火を付け、日本中が大騒ぎになった。27年たって事件は発生の地で新展開を見せることになる。
▼日本の最高裁で無罪が確定している事件が、米国ではまだ捜査の対象になっていたとは。法理論的には可能らしいが、異例のことと、専門家も首をかしげている。よほどの有力な証拠か、証言が出てきたのか、今は進展を見守るしかない。
▼それにしても、ロス市警の執念深さには舌を巻く。米国では、殺人には時効が適用されないことを、あらためて思い知らされた。日本では、平成16年の刑事訴訟法の改正で、「死刑に当たる罪」の公訴時効が15年から25年にのばされたものの、撤廃については、将来の検討課題にとどまっている。
▼公訴時効が存在する理由として、(1)長い年月がたつと犯罪の立証が難しくなり、冤罪(えんざい)の危険性もある(2)古い事件をいつまでも残すことは、国家の負担につながる−などがあげられる。ただこれらは、時効のない国にもあてはまることだ。
▼日本特有の事情があるに違いない。月日がすべてを解決する。起きてしまったことはしょうがない、水に流そう。こんな無常観に、制度がなじんできたのではないか。国際社会ではなかなか理解されない心情だが。