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【竹内薫の科学・時事放談】日本の「農薬」事情 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:中国製ギョーザ中毒問題
■多くの盲点を突かれた
中国から輸入された冷凍ギョーザにより中毒被害が出て、製品から農薬メタミドホスが検出された問題は、いまだ原因が究明されていない。実に怖いことである。サイエンスライターである私も、農薬事情については、ほとんど知識がなかったのだが、事件のあまりの重大さに、自分なりにリサーチをしてみた。
農薬には除草剤、殺ダニ剤、殺鼠(さっそ)剤など、たくさんの種類があるが、ここでは事件と関係する殺虫剤だけに注目してみよう。殺虫剤には(神経機能を阻害する)有機リン剤、(除虫菊の殺虫成分が起源の)合成ピレスロイド剤、(枯れ草菌が作る殺虫性タンパク質を利用する)BT剤、(昆虫の脱皮や変態を妨げる)昆虫成長制御剤などがある。
今回の事件で検出されたメタミドホスは有機リン剤に分類される。「昆虫にも人間にも神経は存在するから、有機リン剤って危ないんだね」と思われるかもしれないが、すべての有機リン剤が人間にとって危険というわけではない。たとえば「マラソン」という有機リン剤は、微量で昆虫を殺すが、人間は体内に解毒・分解する酵素をもっているため安全だといわれる。しかし、パラチオンや(今回検出された)メタミドホスのような有機リン剤は、人間にも危険であることがわかったため、世界各国で使用が禁止もしくは制限されている。中国もパラチオンやメタミドホスを禁止しているが、比較的最近まで農薬として流通していたため、まだ使用している農家があるといわれる。また、多くの農家に未使用のパラチオンやメタミドホスが残っている可能性も高い。

