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【産経抄】1月19日

2008.1.19 03:40
このニュースのトピックス産経抄

 「世紀の合併」と言われた昭和45(1970)年の新日鉄誕生は、毎日新聞と日刊工業新聞の特ダネだった。富士製鉄の永野重雄社長と八幡製鉄の稲山嘉寛社長というトップ同士がひそかに合意していた。それを永野氏にポロリもらさせた結果である。

 ▼「確認」のため記者の夜回り取材を受けた稲山氏は合意は認めながらも「もう2、3日待ってくれませんか」と頼んだ。新聞に書かれて合併がつぶれる恐れがあったからだ。しかし最後は「永野さんがしゃべったんだったら仕方ない」とギブアップしたという。

 ▼企業合併や経営統合をめぐる取材する側とされる方とのせめぎ合いは激しい。取材する者としては社会的影響も大きい企業の動きを一刻も早く知らせたい。記者としての名誉もある。だが企業側が計画を「頓挫」させないため、少しでも報道を遅らせたいのも当然だ。

 ▼NHKが昨年3月に放送した外食産業による回転ずしチェーンのグループ化というニュースも、記者にとって苦労の末の特ダネだっただろう。その情報を別の記者が放送前にコンピューターから盗む。そしてこれをもとにこっそり株を買い、何十万円かをもうけたという。

 ▼取材で得た情報を報道以外に利用してはならない。というのは報道に携わる者の基本的モラルである。ましてや株の売買に使うなど言語道断のことだが、もっとも憤懣(ふんまん)やる方ないのは、汗を流して得た特ダネを金もうけに利用された記者かもしれない。

 ▼投資家は本来、企業活動のために一肌脱ごう、国の経済を支えようという志を持っていたのではないのだろうか。それがインサイダー取引で「小金」を稼ぐ。証券市場がさえないのも、そんなさもしい「株主」が増えたためではと思いたくなる。

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