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【産経抄】12月29日

2007.12.29 04:09
このニュースのトピックス産経抄

 ケネディ米大統領暗殺の衝撃がいまだに忘れられないという日本人は多い。昭和38年11月、総選挙も終わりノンビリと迎えた勤労感謝の日の早朝、飛び込んできた凶事だった。それもこの日初めて実験放送が行われたテレビの衛星中継によってである。

 ▼パキスタンのブット元首相暗殺のショックもこれに劣らない。イスラム圏唯一の核保有国の「民主化」のカギを握る女性だったからだ。違うのはケネディ暗殺がまったくの「青天の霹靂(へきれき)」だったのに対し、ブット元首相の場合いくつも予兆を感じさせていたことだ。

 ▼今年10月、事実上の亡命先から帰国した直後にも、カラチでブット氏を狙った爆弾テロが起きている。凶弾が飛び交う中に「丸腰」で帰ってきたようなものだった。それでも母国の民主化を訴え、引き下がろうとしない。度胸と勇気にはただただ驚くばかりだ。

 ▼元首相の政敵とも言えるムシャラフ大統領は「テロリストを根絶するまで戦い続ける」と国民に宣言した。米国もこれに協力する方針だ。テロをなくすには、これと徹底的に戦うしかない。それは当然のことだ。ただパキスタンの国情を考えると複雑な思いもする。

 ▼ムシャラフ大統領が「テロとの戦い」を強力に進めようとすれば、一段と軍政が強まり、民主化の動きが後退する恐れがある。「諸刃(もろは)の剣」になりかねないからだ。テロとの戦いと民主化を両立させようとしていた米国や英国などのもくろみも水泡に帰してしまう。

 ▼暗殺事件は、そんな綱渡りのような政治状況を抱えた核保有国がアジアにあることを国際社会に示した。新テロ特措法案を棚ざらしにし、国際情勢と向き合おうとしない日本の政治家はどう受け取ったのか。あくまで見て見ぬふりだろうか。 

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