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【衝撃事件の核心】「無数の傷」がもたらす捜査の壁…「力士急死事件」の特殊性 (2/2ページ)

2007.12.10 08:06
このニュースのトピックス衝撃事件の核心

 「暴行を加えた3人の兄弟子は、当時の状況を具体的に供述している。金属バットなどの凶器も特定はできているが、暴行の手順や強さが、斉藤さんの体をどの段階で死に至らしめたのか、もっと慎重に調べる必要があると判断した」と、警察幹部は名大への委託の理由を説明する。

 供述だけでの立件には無理がある。兄弟子らの供述を裏付ける物証を、斉藤さんの遺体から確認しなければならないわけだ。これに時間がかかっている。

 また、捜査をさらに難しくしているのが、「時間差」の問題だ。

 斉藤さんは暴行された後もけいこを続け、死亡当日も直前まで激しいぶつかりげいこを行っていた。死亡に結び付いたとみられる行為が2日にわたっていることで、直接死因の特定がより難しくなっているのだ。

 「激しい暴行から急死まで丸一日の時間がある。この空白が傷害との因果関係を難しくしている」と警察幹部。「公判で被告側弁護人が、その空白の時間帯に、例えば心臓疾患や、前日の暴行以外の要因で死亡した可能性を唱えて反論してきた場合にも揺るがない立証が必要になる。傷害以外の死因を排除するためにも、再鑑定が必要なのだ」と明かす。

 ■「過失」では悪質性を追及できず……目指される「傷害致死」

 県警が傷害致死での立件が難しいと最終的に判断した場合、事件は「斉藤さんの体調の急激な悪化を見て、けいこの中止などの適切な措置をとらなかった」という構図に置き換えられ、業務上過失致死罪での立件が目指されることになりそうだ。だが、これが、元親方らの行為の「悪質性」を反映させているか−という点については微妙だ。警察が「けいこの名の下に度を超した暴行があったことは明白。何としても傷害致死でとりたい」とこだわるのはそのためだ。名大への再検査委託は、傷害致死での立件へ向けた強い意志の表れといえる。

 「立件すれば検察も起訴猶予で終わらせることが許されない事件。再検査委託でも死因は外傷性ショックとなるだろうが、その後の捜査・立証が勝負になる」。警察幹部はそう話している。

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