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【衝撃事件の核心】「無数の傷」がもたらす捜査の壁…「力士急死事件」の特殊性 (1/2ページ)

2007.12.10 08:06
このニュースのトピックス衝撃事件の核心

 法に抵触する「傷害致死」か、それとも相撲の稽古の枠内での「しごき」なのか−。大相撲時津風部屋の力士、斉藤俊さん=当時(17)、しこ名・時太山=が6月、稽古中に急死した問題は、捜査中の愛知県警が遺体の組織片の再検査を名古屋大に委託し、捜査は長期化の見通しとなった。県警は「これはもはや稽古ではない。刑事責任を問うべき」と当時の親方ら部屋関係者の立件を目指すが、捜査は容易でない。刑事責任を追及するうえでの、この問題の特殊性とは−?(加藤達也)

 ■再び遺体組織検査……この時期になぜ?

 「前例がなく、立証が難しい事件だが、公判に耐え得る捜査をしたい」

 事件から5カ月以上経って改めて遺体組織の検査に踏み切った理由を、警察幹部はこう打ち明けた。

 斉藤さんは6月26日、ぶつかりげいこの直後に土俵で倒れ、時津風部屋が巡業時の宿舎として借りていた寺院に運ばれた。

 現場を所管する愛知県警の犬山署員は医師の立ち会いのもとで遺体を調べたが、県警本部に検視官の出動を要請せず、いったん「病死」と判断してしまった。

 ところが、おびただしい傷がある遺体を見て、死因に疑問を感じた斉藤さんの父親が、新潟大に解剖と組織検査を依頼。死因は「多発外傷による外傷性ショック死」との結果が出た。

 これを受け、県警は「病死」とした判断の誤りを認めて関係者への事情聴取など捜査に着手。これまでに兄弟子3人が斉藤さんを金属バットで殴るなどして激しい暴行を加えたと認め、元時津風親方=本名・山本順一=についても暴行を指示した疑いが浮上。4人について傷害致死での立件を目指して捜査している。

 ■「多すぎる傷」と「時間差」がネックに……

 だが、捜査は大きな壁に直面した。

 元親方らの行為に傷害致死罪を適用しようと検討する場合、立件にはまず「致命傷は何なのか」ということを確定させなければならない。そのうえで、「致命傷」を「誰」が「どのように与えたか」を特定する必要がある。

 ところが、斉藤さんの体には無数の傷があり、どれが致命傷なのかを特定することがなかなかできないでいるのだ。

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