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【産経抄】11月28日
このニュースのトピックス:守屋前防衛次官問題
役者としてのビートたけしは、何を演じても「ビートたけし」にしか見えないが、彼の存在感は、凡百の役者を圧倒して余りある。先日、テレビ朝日系で放送されたドラマ「点と線」でも犯人を追いつめるたけし老刑事につられて最後まで見てしまった。
▼松本清張原作のこの作品で有名なのは、東京駅13番線ホームから犯人が連れの女性に、「4分間の空白」を利用して向かいの15番線で特急あさかぜに乗り込む被害者を見せる場面だ。テレビ局は大規模なオープンセットをつくって昭和32年の東京駅を再現したそうだが、ちょっとがっかりした。
▼ドラマのあさかぜは青い光沢を放つブルートレインだったが、当時は旧型車両の寄せ集めで茶色だったはず。視界をさえぎる横須賀線電車も後年に製造されたものだった。昭和30年代を映像で再現するのは今や時代劇並みに難しい。
▼福岡−札幌間の移動に飛行機を使ったトリックが受け入れられたのも「飛行機に乗ったことがない」人が大多数で、新幹線もなかった当時だからこそ。日本の交通網は、半世紀で大変革を遂げ、今では想像もできない。なのに読み継がれているのはなぜか。
▼「点と線」は、中央省庁の汚職事件もみ消しのため、出入り商人が殺人を犯す話だが、現代でも妙なリアリティーがある。裏を返せば、政官業の癒着体質が改まらず、政治状況が半世紀前からちっとも進歩していないからではないか。
▼きのう額賀福志郎財務相は、逮捕された出入り業者らとの宴席に同席していない証拠がある、とアリバイを主張した。一方の民主党は守屋武昌前防衛事務次官の「証言」を盾に、アリバイ崩しに自信を示す。この調子では清張作品が読まれなくなる日は当分こないかもしれない。