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【話の肖像画】徹底捜査せよ(1)前警察庁長官・漆間巌さん (1/2ページ)
■「ちとせ」に運命つながり
《この8月、長官を最後に警察庁を去るまで、全国警察に拉致事件の徹底捜査を指示。長官在任中に国際手配された拉致容疑者は6事件で延べ10人に》
−−拉致を「ライフワーク」と言ってました
漆間 警察庁の外事1課長だった平成3年、ソウルで大韓機爆破事件の金賢姫元死刑囚に直接、面会したことが大きい。(犯人の)面割用の写真を15枚ほど持参し、1枚ずつ見せました。彼女は7枚目の写真を真剣な視線で見つめて、ぐっと引き寄せ、そのときだけ日本語で「恩恵(ウネ)先生です」とつぶやいたのです。
《日本語教育係の「李恩恵」が、初めて田口八重子さんと確認された瞬間だった》
−−拉致事件への認識はいつごろからですか
漆間 外事1課長になって、北朝鮮の事件や工作に関して警察が持つさまざまな資料や調書に接する立場になって初めて、拉致を知ったのです。その前年の秋、福井県の海岸に工作船と工作員の水死体が漂着した事件や、拉致事件の現場にも足を運ぶうち、北朝鮮の工作の実態が次第に分かりました。
−−国家ぐるみの犯罪
漆間 北朝鮮が自国の犯罪のために日本人を次々に拉致する。航空機まで爆破して、それを日本の仕業に見せかける…。日本人の命にかかわる問題ですから、拉致は絶対に糾明しなければならないと決意しました。
《韓国当局に逮捕された金賢姫元死刑囚は、日本語教育係李恩恵の日本名が「ちとせ」だったと供述していた》
−−その名前に運命的なものを
漆間 ちとせは、拉致される直前に田口さんが勤めていた東京・池袋駅近くの飲食店での源氏名。一方で、私にとっては子供のころの遊び場だった豊島区の橋の名前「千登世」と同じで、因縁めいたものを感じました。
《千登世橋は明治通りにかかる陸橋である。田口さんが子供を預けた高田馬場のベビーホテルからも遠くなかった。漆間さんは「田口さんは源氏名をこの橋からとってつけたものではないか。田口さんもかつて、この橋の近くまで来ていたのではないか」と考え、拉致の非道さを思ったという》

