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【消える「一線」】ネット犯罪2007(6)責任 「自分の身は自分で」 (1/3ページ)
「匿名性がネット犯罪を生み出しているのではない」。ある捜査幹部はこう語る。「匿名と勘違いして裏の世界に足を踏み入れる人の多いことが、犯罪を複雑にしているのだ」
プロバイダーを中継し世界中をつなぐインターネット。「プロバイダーを経由する限り、必ず通信履歴のログは残る」と捜査幹部。岡村久道弁護士も「ログがあれば理論上どこまでも足跡を追える。新聞を切り張りした脅迫状より、発信元をたどるのは容易」という。
発信元は割れても、それが犯罪とは無縁に思える人物や子供だったりして、捜査の筋読みを難しくしているのが現状だ。
さらに2要因が捜査の壁に。1つはインターネットカフェの存在だ。
警察庁によると、平成17年に全国の警察が認知した不正アクセス約600件のうち、未摘発約280件の半数がインターネットカフェを使っていた。ネットカフェは身分確認を行っていない店が多く、これが犯罪の温床になっている。
もう1つは、違法情報が海外プロバイダーを経由するケースが多いこと。有害サイトの通報窓口「インターネット・ホットラインセンター」に18年度寄せられた違法・有害情報の3割が海外サーバーを経由していた。
海外プロバイダーを経由している場合、日本の警察はICPO(国際刑事警察機構)を通じ問い合わせるが、「回答まで3カ月から半年かかるケースがざらにある。大半のログは半年以内に消去されるため、お手上げになる」(捜査幹部)。
国境を超えたネット犯罪に対抗するため、各国が批准を進めるのが「サイバー犯罪条約」だ。日本でも16年に国会承認されたが、ログ差し押さえや保全命令を可能にする関連法案が共謀罪と合わせて国会提出されたため、宙に浮いている。
「コンピューターウイルスを所持しているだけで処罰できる法案も含まれており、未然に防げた情報流出事件も少なくない。共謀罪と切り離しても速やかに成立させるべきだ」と岡村弁護士。「ネット犯罪は一つの国で法整備が遅れれば、そこを抜け道に摘発逃れが横行する。国際協調こそが捜査に必要だ」