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【主張】建材偽装 不正のツケは重いと知れ
「食」に続いて、「住」の安全にかかわる不正がまたも明るみに出た。
気づかれなければ何をやってもかまわない。そんな心理がこの国の企業経営者にはびこっているとしたら、ゆゆしき事態だ。このままでは日本の将来に暗澹(あんたん)たる思いを禁じ得ない。
建材メーカーのニチアス(東京都港区)が、軒裏と間仕切り壁の耐火性能を偽装し、長年にわたってその製品の販売を続けていた。対象製品は住宅を中心に全国の10万棟で使われたとされており、影響は大きい。
ニチアスから問題の建材を購入した住宅メーカー各社は、無償改修の方針をすでに示しているが、ことは火災の延焼防止という人命にかかわる重大問題である。対象住宅の住民にも速やかに情報を開示するとともに、改修作業には万全を期してもらいたい。
偽装の手口も悪質きわまりない。民間の性能評価機関による性能試験のさい、外見では分からない内側の材料を燃えにくいよう水に浸すなどして、巧みにチェックをすり抜けていた。
現経営陣も、1年も前の社内調査で実態を把握していたにもかかわらず、そのまま販売を続けていた。公表に踏み切ったのも、関係者からとみられる匿名の投書がきっかけだった。それがなければ不正は続いていたという。あきれるほかはない。
同時に、耐火性能試験のチェック体制にも問題がなかったか、あらためて見直す必要がある。場合によっては、製品の素材にまでさかのぼって抜き打ち検査を行うなど、審査基準の強化についても検討すべきだろう。
「住」の安全に関しては、一昨年に姉歯秀次元1級建築士による耐震偽装事件が社会を揺るがしたばかりだ。生涯一度の夢として購入したマイホームを追われ、補償問題が決着しないままに、いまだ仮住まいを余儀なくされている住民も少なくない。
今回の耐火材偽装でも、改修には木造住宅でも1戸当たり100万単位の費用が発生すると試算されている。年間売上高千数百億円のニチアスにとっては企業としての存亡がかかる厳しいペナルティーとなる。コンプライアンス(法の順守)無視によるツケがいかに高くつくものか、他の企業も他山の石とすべきであろう。