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贖罪と保身 鈴香被告の胸中は
秋田連続児童殺害事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われた無職、畠山鈴香被告(34)の第6回公判が31日、秋田地裁(藤井俊郎裁判長)で開かれ、前回に引き続き被告人質問が行われた。弁護側質問には淡々と応じ「極刑を望む」とまで答えた鈴香被告だが、終盤から検察側の質問が始まると、一転して対決姿勢に。供述の矛盾点などをつかれて寡黙になり、ついには検察官をキッとにらみつけた。贖罪と保身。本心は、どこにあるのか−。
■検察が放つ“矢”
公判の予定時間も残り少なくなった午後3時42分。鈴香被告の左手で、1日半続いた弁護側質問を静かに聞いていた検察官が立ち上がり、質問を始めた。
傍聴席に背中を向けている鈴香被告は、弁護側質問の時と、一見何も変わらない様子で質問を受け始めたが、その様相はまもなく変わった。
検察側が放った最初の“矢”は、自殺未遂の真偽だった。
弁護側質問の中では、拘置中に「たばこを4本飲んだ」「ボディソープをボトルの3分の1飲んだ」「タオルで首を絞め、鏡の破片で腕を切った」と自殺未遂を告白した鈴香被告。
しかし、検察側は突如「本当に死のうと思った?」と疑問を投げかけた。聞き取れないような声で「はい」と答える鈴香被告。いつたばこを飲んだのか問いつめられると、「覚えていないけど…」。そう言うと、鈴香被告は、固まったように動かなくなった。
■にらむ視線の先は…
検察側の追及は、取り調べで出てきた虚言にも及んだ。
平成18年6月4日に米山豪憲君=当時(7)=の死体遺棄容疑で逮捕される前から「自白したかった」という鈴香被告。しかし、検察官は「あなたは豪憲君殺害を否認するとき、別の人の名を挙げて『犯人だ』と言ったはずだ」とたたみかけた。
「答えたくない」と逃げようとする鈴香被告に「ほかの人になすりつけて逃げたいのを、殺害したと認めたのはどうして?」と続ける検察側。鈴香被告は「検事に怒鳴られたから」と思わず告白した。
その後、豪憲君殺害場所の矛盾点を問われると、鈴香被告は、とうとう怒りをあらわにした。
「検事さんみたく賢くないので、考えていなかった」
顔を急に左に向け、鋭い視線を向ける鈴香被告に、検察側は言葉を重ねた。「ずいぶんきつい目でにらまれたようだが…。皮肉を言いますか」
「言いません」。検察官をにらみつける鈴香被告。わずか数メートルの間で見えない火花が散った。
検察側の被告人質問は次回11月2日の第7回公判でも行われる予定だ。
■極刑にしてほしい
検察側と対立姿勢を見せた鈴香被告だが、その直前まで行われた弁護側質問では、淡々とよどみなく答え、事件に対する贖罪の姿勢もみせた。
鈴香被告は冒頭で18年5月17日の豪憲君殺害当日とその前日、近所の子供を連れ去ろうとしていたことを明かし、その理由を「子供が関係する事件が起きれば、警察もマスコミも本腰を入れて捜査してくれるのではないか」と説明した。
さらに、豪憲君殺害のきっかけも口にした。自宅の彩香ちゃんの部屋の窓から豪憲君を見た鈴香被告。彩香ちゃんの遺品を受け取ってもらおうとした際、豪憲君の黄色い帽子が目に入ったという。
「切なくて…うらやましいというのと…」。ここまで口にすると、鈴香被告は約30秒間絶句し、続けた。「…憎たらしいという気持ち。うらやましい、ねたましい、そういう張り裂けそうな気持ちになった」
眉間にしわを寄せ、苦しそうな表情で遺影を持って傍聴していた豪憲君の母はむせび泣き、何度も涙をぬぐった。
「謝るだけではいけない」。鈴香被告の発言を受け弁護側が「命を持って償うということか」と問いかけると「はい」。最後には「極刑にしてほしい」と口にした。