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【主張】年金横領 筋通らぬ刑事告発見送り

2007.10.7 02:51
このニュースのトピックス不祥事

 年金の保険料や給付金を横領した職員を刑事告発するよう求められているのに、大半の市町村が告発を見送る方針だという。これでは悪事を見て見ぬふりすることと同じではないか。

 刑事告発を見送ろうとする自治体に対し、舛添要一厚生労働相は「犯罪を野放しにはできない。市町村が告発しないなら社会保険庁長官を通じて告発する」と厳しい姿勢で臨んでいる。

 業務上横領罪の公訴時効が成立していないケースが判明しても、自治体が刑事告発しないときには、社保庁が代わって刑事告発するというのだ。法治国家として当然の行為である。

 国民が自らの老後を支えるために預けた保険料の横領は決して許されない。横領した保険料を返しても横領の罪は消えない。きちんと法の裁きを受けて罪を償うべきである。

 刑事告発を見送る方針を固めた自治体のうち、宮城県大崎市は「職員はすでに懲戒免職となり、横領した保険料28万円も全額弁済した。広報紙に事実関係を載せて住民におわびし、議会でも説明した」とし、「職員は社会的制裁を十分受けた」と強調する。他の自治体も同様の理由を挙げる。

 警察沙汰(ざた)にまでしてその職員をことさら傷付けるのは避けたいとの思いらしい。いや、裏には職員組合との関係もあるかもしれない。

 しかし、それはただ身内をかばっているだけであり、「身内に甘い」と批判されても反論できまい。保険料を横領されたのは国民である。司法が判断するのは当然だろう。

 市町村職員による国民年金保険料の横領は、33都道府県の90自治体で計101件判明した。その横領総額は2億4000万円に上る。ばかにはできない件数や額である。社保庁は平成10年以降、横領した職員をすべて刑事告発している。国民年金保険料の収納事務を扱っていた市町村も刑事告発という同じ対応をとらないのはおかしい。

 舛添厚労相は「横領した職員は牢屋(ろうや)に入ってもらう」「盗っ人は最後の1人まで捜す」とも発言、刑事告発を受けた全国の警察も捜査を進めている。年金記録の紛失問題など一連の不祥事で失った信頼を取り戻すにはこうした厳格さが求められる。自治体もそれを深く自覚すべきである。

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