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【主張】時津風親方解雇 相撲協会首脳の猛省促す
「イマダ モッケイタリエズ フタバ(いまだ 木鶏たりえず 双葉)」
不世出の大横綱双葉山は、昭和14年春場所4日目に69連勝の大記録が止まると、こう知人に電報を打ったという。まだ精進が足りないと自らを戒め、さらなる努力を誓った。
70年近い時が過ぎ、日本相撲協会が危機に陥っている。7月の名古屋場所前、時津風部屋の序ノ口力士がけいこ後に急死した問題で、緊急理事会を開き、双葉山が興した時津風部屋の時津風親方(元小結双津竜)を解雇し、再び相撲界に戻ることができない永久追放とした。合わせて、北の湖理事長ら首脳陣の自主的減俸も発表した。
北の湖理事長は理事会後の会見で、時津風親方の処分理由として「相撲協会の名誉と信用を失墜させた」ことをあげた。時津風親方は「解雇の決定を真摯(しんし)に受け止める。今後も大相撲を応援して参りたい」とのコメントを出した。
角界には「無理偏に拳骨(げんこつ)」という言葉がある。上下関係が厳しく、どんな理不尽なことでも従わなければならない、という伝統というかあしき慣習が受け継がれている。
今回の処分で問題が解決されたとはいえず、角界を取り巻く情勢はますます混迷の度を深めている。
こうなった責任は、日本相撲協会の最高責任者である北の湖理事長にある、といわざるを得ない。横綱朝青龍に続き、今度は、たった一人の親方さえ指導できなくて、減俸ではすまないだろう。
力士は子供たちから「おすもうさん、おすもうさん」と慕われ、「心は優しい力持ち」とあこがれの的である。その夢を大人たちの都合で壊してはならない。
ただでさえ、厳しい世界を嫌って、大相撲の門をたたく若者は少なくなり、今夏には応募者なしというワースト記録を作ってしまった。
国技・大相撲は存亡の危機に立っているという認識を持っているのか、その管理能力が問われている。
双葉山は相撲道を究めるため、常に謙虚さを失わず、高い目標に向かって努力を重ねた。北の湖理事長をはじめ大相撲関係者は、角聖が残した言葉を忘れてしまったのだろうか。