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【産経抄】10月6日
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どうしたら金がたまるのか。映画「マルサの女」の中で、国税局の査察官が、脱税の摘発を狙っているラブホテル経営者、権藤に尋ねる場面がある。権藤は、ポタポタ落ちてくる水の下に置いたコップにたとえていう。
▼「あんた、のどが渇いたからって、まだ半分しかたまってないのに飲んじゃうだろ、これ最低だね」。いっぱいになってあふれて垂れてくるのをなめろというのだ。なるほどとは思うが、俗人にはこちらの方が耳に心地よい。
▼「富への道は市場への道と同じくらいわかりやすい」。1898年、ニューヨークで簿記の仕事をしていたウィリアム・F・ミラーが投資会社を設立したとき、自宅の窓に掲げた看板に書き込んだ、ベンジャミン・フランクリンの名言だ。
▼配当が週に10%というから、年率はなんと520%になる。たちまち評判になって、人々は争うように、金をつぎ込んだ。出資者がだまされたと気づくのは、それからまもなくのこと。ミラー自身も悪徳弁護士に金を持ち逃げされたあげくに、懲役10年の刑を受ける(『詐欺とペテンの大百科』青土社)。
▼健康商品販売業「エル・アンド・ジー」が出資法違反容疑で警察の家宅捜索を受けた。年利36%の高利をうたい、約5万人から集めた金は1000億にのぼる。「円天」なる電子マネーは現代風だが、中身は古典的なマルチ商法まがいの手口にみえる。警察は詐欺容疑での立件も視野に入れているようだ。
▼「資本主義の育ての親」といわれたフランクリンもさぞ心外だったろう。著書で強調しているのは、実は勤勉と節約の大切さだ。つまり権藤と意見が一致している。わかっちゃいるけど…。そんな心のすきを狙う詐欺師たちが、時を超えて増殖を続ける。