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【特報 追う】観光の秋 選挙はご勘弁!? 書き入れ時…客足減少を懸念
11月2日、9日、16日、年末、年明け…。近く予想される衆院選の日程が揺れ続け、思わぬ所に波紋を広げている。10月1日から始まった宮城県の大型観光企画「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン(DC)」。秋の行楽シーズンに観光客誘致を狙うが、「選挙になれば関係者は旅行どころではない」「投票は基本的に日曜。イベントの人出が心配」との声も。岩手・宮城内陸地震による風評被害の傷も癒えぬまま、観光関係者のヤキモキが続く。(渡部一実)。
「選挙になるとお客さんが減る。勘弁してほしい…」。ため息を付くのは、11月8、9日に「おながわDCカキ祭り」を企画する「マリンパル女川事業協同組合」(宮城県女川町)の担当者。
カキが食べごろを迎える11月、同組合は格安販売や試食会などさまざまなイベントを予定。両日で3000〜4000人の人出を見込む。
だが、ここに来て衆院選の「10月28日公示、11月9日投開票説」が浮上。担当者は「(カキ祭りは)11月第2土曜、日曜に定着したイベントだから日程は動かせない。もし投票日に当たったら困る」。
岩手・宮城内陸地震からの復興が進む栗原市も11月2日、地元畜産物などを販売する「がんばろう栗原・大復興市」を企画。1万人の来場を見込む。「支援してくれた全国の人々に感謝の気持ちを示し、頑張っている栗原の姿を伝えたい」(市農林振興課)が、もし2日が投票日になったら…。
同課は「政治に左右されて(復興市の)準備が滞っても仕方ない。選挙は選挙、イベントはイベント。切り離して考える」と強調。開催日をずらす考えはないようだ。
DCは、JRと自治体、地元旅行会社などが連携して観光客を誘致するキャンペーン。昭和53年から各地で実施されているが、宮城県単独で開催するのは今回が初。それだけに観光関係者の期待は大きく、今年の県内への観光客入り込み数を対前年比 4.1%増の6025万人、宿泊客は同 9.7%増の 902万人に増やす考えだ。
しかし、福田康夫前首相の突然の辞意表明で政局は一転、解散・総選挙含みに。村井嘉浩知事は9月上旬、観光関係者の不安をこう代弁した。「地震の風評被害で今でも秋以降の予約状況が1割ぐらい減っている。選挙になるとさらに客足が遠のく」。そして「できればDC期間中は選挙を避けてほしい」。
県観光課によると、総選挙が行われた年の宿泊客数は、確かに前年よりも減少してきた。
「神の国選挙」といわれた平成12年は前年比4万5281人減の 734万1319人、「マニフェスト選挙」の15年は同5万8841人減の 759万6832人、「郵政選挙」の17年は同1万9015人減の 791万8094人−。「選挙との因果関係は不明だが、選挙になれば政党関係者や支持者、地方議員らが地元を抜けられない。影響はあるのだろう」(同課)。
今回も県には、県内のホテルや旅館業者から「選挙になればお客が2割減る」との“悲鳴”が届いているという。
選挙vs観光キャンペーン−。この構図はかつて東北でもあった。17年7月〜9月末、福島県会津若松市を中心に実施された「福島県あいづDC」。期間中の8月8日、参院での郵政民営化法案否決を受け、小泉純一郎首相(当時)が衆院を解散。総選挙は同30日公示、9月11日に投開票され、全日程がDC期間と重なった。
だが、会津若松市観光課は「選挙だったから観光客が減ったという記憶はない」。実際に17年の同市の観光客数は、前年比13万1000人増の 315万3000人に増加。翌18年も前年比15万2000人増の 330万5000人まで伸びた。
一体、何が起きたのか−。同市の観光ボランティアガイド、大塚セイ子さん(54)は当時をこう振り返る。「(DC前年の)16年のNHK大河ドラマは『新選組』。これが大きかった。ドラマで戊辰戦争や白虎隊、会津藩に若い人の注目が集まったところに、絶妙のタイミングでDC。だから17年はとにかく勢いがあって、忙しかった記憶しかない。選挙?そういえばありましたねえ…」
観光キャンペーンの成否を決するのは、地域の魅力、PR方法、時流の勢いといった要素。会津のようにこれらがうまくかみ合えば、今回いつ選挙があってもおそるるに足らず、か!?