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「SL信越120周年号」 運行を前にカメラの放列並ぶ
かつて全国の鉄路を駆け抜け、日本の産業発展を支えた蒸気機関車(SL)が、22日から24日までの3日間、信越線長野−黒姫間で「SL信越120周年号」として運転される。運行に先立ち16日から連日のように、試運転が行われたが、沿線には本番を前に住民や鉄道ファンが詰めかけ、カメラの放列が並んだ。多くの人を引きつけるSLの魅力を探ってみた。(太田浩信)
JR東日本管内のSLは、磐越西線で運転されている「C57型180号機」とデゴイチの愛称で知られる「D51型498号機」の2両。「C57型」は新潟−会津若松間で土、日曜日を中心に定期運用を行っているが、「D51型」は各地のイベントなどに臨時運用されており、乗車や撮影の機会は少なく鉄道ファンらの人気は高い。
長野県内で蒸気機関車が走るのは、平成17年10月に中央東線100周年を記念した同線岡谷−茅野間の運行以来、3年ぶり。信越線での運行は実に12年ぶりのことだ。今回の「信越120周年号」では1日2往復、3日間で6本の列車の指定席券が1カ月前に発売されたが、「ほぼ即日完売状態でした」とJR東日本長野支社広報室。
その人気の秘密を探ろうと、本番に先立って17日に行われた報道公開で体験乗車した。
午後1時過ぎ、長野駅のホームにデゴイチが滑り込んでくると、多くの家族連れや鉄道ファンが真っ黒い車体を取り囲んで、たちまち記念撮影の列ができた。2台のディーゼル機関車、6両の客車を従えたデゴイチは、煙突から煙を吹き上げ、車輪の間から蒸気を噴き出し、巨大な鉄の塊は、まるで生きているかのよう。「コワイよ−」と泣き出す小さな子供の姿も見られるほどだ。
実際の運転ダイヤに合わせて同1時半にゆっくりホームを離れると、「シュッシュ」という蒸気を吐き出す音、「ポォ−」という鋭い汽笛の音が蒸気機関車が牽引(けんいん)する列車に乗っていることを実感する。沿線には、若者からお年寄りまで男女を問わず走り行く列車を見つめ、カメラを構えたり手をふったり、笑顔が並ぶ。黒姫駅まで1時間ちょっとだが、至る所に鉄道ファンのカメラの放列が並ぶ。特に人気のポイントでは、斜面の狭い場所に三脚を立ててデゴイチを狙う。市街地では、汽笛の音を聞いて家から飛び出てくるおばあちゃんの姿も。
終点の黒姫駅では、見学に訪れた地元の柏原小学校の児童たちがお出迎え。急勾配(こうばい)を駆け抜けてきて一息つくデゴイチに、「スゴイ」「かっこいい」と歓声を上げ、石炭が真っ赤にもえるボイラー内をのぞき込んで目は興味津々。引率の森野剛教諭(43)は「私もこんなに間近で見るのは初めて。蒸気のにおいを感じ、機関車が動くのを見ると子供たちにも大事な思い出となるでしょう」と話した。
このデゴイチを運転したのは長野支社の数納(すのう)和昭主任運転士(49)。「ハイテクで動く電車と違い、勘が頼り。でも人と機関車の一体感が魅力。豊野駅から黒姫駅までは急勾配とS字カーブが連続するが、デゴイチは人間が歩くように体を右に左に揺りながら登る」と目を細めた。
往復約3時間の体験乗車を終えると、窓を開け放していたためか、ムズムズする鼻をかむと煤(すす)で真っ黒。煙をもうもうと上げ、急勾配を登る迫力ある姿は客車内からは見えなかったため、運行当日はぜひ、沿線で雄姿を見たい。
■SL信越120周年号
信越線開業120周年と、「歩こう!信州 秋の信濃路キャンペーン」にあわあせ1日2往復を運行。JR東日本が保存するD51型蒸気機関車の498号機を使用し、下りは長野駅を午前8時50分と午後1時半に発車。上りは、機関車の方向転換ができないため、DD16型ディーゼル機関車の重連による牽引で「DL信越120周年号」として運転し、デゴイチは最後尾を飾る。撮影ポイントは、「豊野駅−牟礼駅にある飯山線との併走区間や古間駅の周辺などたくさんあります」とJR東日本長野支社広報室。撮影にあたっては、沿線に配置された係員の指導に従い、線路内など危険な場所や民家などに入り込まないでほしい、と呼びかけている。